研究課題
今年度は、脳機能計測装置(島津製作所のLIGHTNIRS)と視線計測装置(Tobii社のTX300)を2週間レンタルし、(a) 学習者の英語詩読解時の脳の賦活状況は日本語詩読解時のそれとどのように異なるのか、(b) 学習者の英語詩読解時の脳の賦活状況は、英語説明文読解時のそれとどのように異なるのか、という2つの研究課題を調査した。日本人大学生英語学習者28名を対象に調査を行った。今回の調査では、英語詩、英語説明文、日本語詩を各3つずつ調査参加者別にランダムに読んでもらった。英語詩と日本語詩を読む際には「作者がそのテクストで言いたいことは何か」を、英語説明文を読む際には「そのテクストは何を述べた文章か」を、考えてもらった。装置を装着した状態でテクストを読んでもらい、読解中のオキシヘモグロビン濃度を左右両側それぞれ10のチャンネルで測定した。測定後には、記録した視線の動きを調査者と調査参加者で一緒に見ながらインタビューを行い、読解中に考えた各テクストの解答、その確信度、変わった視線の動きをした際に考えていたこと、を尋ねた。データ分析の結果、(a) に関しては、①2つのチャンネルを除いて、日本語読解時よりも英語詩読解時の方が賦活が高い傾向があったこと、②ただし、統計的有意差はほとんどのチャンネルで確認することができず、2つのチャンネルでのみ見られたこと、が確認された。(b) に関しては、③すべてのチャンネルで英語説明文読解時よりも英語詩読解時の方が賦活が高い傾向があり、2つのチャンネルでこの傾向に関して統計的有意差が検出された。申請者は、これらの結果を本研究の類似研究である平成24~26年度科学研究費補助金研究課題(課題番号:24652126)で得られた結果と比較し、共通点と相違点の解釈を行った。また、研究全体を振り返り、今後の課題についても検討した。
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第89回大会Proceedings:The 89th General Meeting of The English Literary Society of Japan, 20-21 May 2017 (付 2016年度支部大会Proceedings)
巻: なし ページ: 109-110
http://home.hiroshima-u.ac.jp/ntakayk/