研究実績の概要 |
今年度は、28年度の研究実績で一つの課題となった実用面に関する点にも注意を払い、研究を進めていった。具体的には、、語数、冊数などの実際の授業においての活用についてである。Day and Bamford (1998)のten principlesを参照し、多読の構成にも注意を払っていった。この最終段階において気をつけなければならないことは、各研究のサンプル数が違うということで、質の良い研究でもサンプル数が少ないと、質に問題があるがサンプル数の多い研究に比べ、見劣ってしまったり、実際の多読効果がうまく現れない可能性もあるため十分な考慮と、注意が必要になる。 日本での検証結果が出た際に国別の比較をするが、その時に結果の解釈において困難が生じた場合は、実際に著者へ連絡を取るなどの措置を考えていたが、そのような事態が発生することもなく、スムーズに研究を進めることができた。 さらに、この研究を行う中で頭に入れておかなければならないのは、言語の違いによる母国語転移や母語干渉である。そのようなケースが見られた場合は、van Ek & Trim (1991, 2001)などを参照し、解釈の助けとした。なお、今後の課題となるが、多読論文のデータベースの構築も一つ視野に入れているため、集めた論文をデータベース化し、多くの英語教育関係者にアクセスできる形で公開することを考えている。それにより、さらなるreplicationが他の研究者によって可能になると考える。 今年度の研究は計画通りに進めることができ、論文を獨協大学「外国語教育研究所紀要」に投稿し、2018年度3月に掲載することができた。論文の結論として、母語で読書習慣がある学生には、第2言語においてもその習慣が維持される結果となった。さらに、アメリカにおけるESLの環境では読書に関する積極的な姿勢の学生が、より多く読書をしている結果となった。
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