研究課題/領域番号 |
15K16804
|
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
加藤 和美 東海大学, 清水教養教育センター, 講師 (60631801)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 中間言語語用論 / 第二言語習得 / グループ活動 / タスク活動 / ICT / 教授法 |
研究実績の概要 |
高等教育外国語では、指導要領の改訂に伴い、授業は英語で行うことを基本としている。しかし、教師が英語で授業を行っていても、学習者がグループ活動を英語で行う際には日本語が飛び交うことが多い。また、高度なタスク活動になればなるほど学習者の「英語で英語授業」の形態が崩れてくる。そこで本発表者は、グループ活動を行うための特別授業を普段の授業に組み込む必要があると考え、中間言語語用論を応用した教授法の研究を始めた。2015年度の研究では、過去に作成した教材と教授法を改良してグループ活動のための特別授業を実践し、第二言語習得の効果の検証を行った。教授法の改良点は、学習者のグループ活動中の発言をiPadで録画し、再生と書き起こしをしてフィードバックする活動を組み込むことである。2つの大学で実践した結果、時間配分や手順を工夫すれば、教員だけでなく学生自身も言語習得の効果を確認することができることがわかった。本研究年度2016年度は、改良した指導方法で「グループ活動を英語で行うための指導方法」の冊子を作成した。作成したビデオ教材をウェブ上に載せ、そのQRコードを冊子に印刷し、誰でも簡単に英語母語話者の活動モデルのビデオを観ることができるようにした。また、その冊子を利用して、プレゼンテーションの授業において、グループ活動のための特別授業を行い、授業を行う前と後で学習者の発言の積極性を調査し、その効果を検証した。本研究の成果は2016年6月に行われた第46回中部地区英語教育学会三重大会にて発表した。「グループ活動を英語で―第二言語習得はできたのか―」と題し、言語習得の観点から発表した。また、2年間の研究成果をまとめて、第46回全国英語教育学会埼玉大会にて「学習者のニーズに応え続ける授業」と題して発表した。6月には、研究社から共著で「高校英語を知的にしたい」を出版し、第8章にてグループ活動の教授法を紹介した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究を一部変更した。研究2年目も授業実践にフォーカスを置き、第二言語習得の効果を検証する研究に変更した。そのため、授業実践が順調に進んだ。4つのクラスにて授業実践し、教授法の改良を続け最終的に冊子を作成しすることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
2017年度は、グループ活動中に学習者が「言いたくても言えなかった英語表現」を2015年度から2017年度までを集め、第二言語習得のためにコーパス分析を行い、頻出リストを作成する予定である。また、頻出リストを利用した授業実践を行い、大学だけでなく高校でも利用ができるように改良する。さらに、海外にて再度タスクを実践しビデオ撮影を行い異文化理解教育への応用に繋げる。予定では1年目に海外にて動画を撮る予定であったが、研究の順番を変えることでより幅広い分野へ応用ができるようにした。これらの研究を全国英語教育学会、中部地区英語教育学会等で発表する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究方法の順番を変更したため、物品費が増え、旅費が減った。研究1年目に海外にて教材用の動画を撮る予定であったが、教授法の改良が必要だったため文献研究を行った結果書籍等の購入が増た。また、研究2年目では改良した教授法にて授業実践を行うため器材を購入したことも物品費が増えた原因である。
|
次年度使用額の使用計画 |
本3年目に渡航し、海外にて英語母語話者の動画を撮影し、すでに作成した教授法の冊子に動画QRコードを掲載して最終的に教材冊子を作成する。また、国内外の学会にて発表するため、旅費が必要である。
|