高等教育外国語では指導要領の改訂に伴い英語の授業は英語で行うことを基本としている。しかし、グループによる高度なタスクになればなるほど学習者は日本語を使ってしまうのが現状である。本来は、学習者にタスクを与え、そのタスク達成のための道具として英語を使い、そのプロセスの中で言語習得を狙うものだが、実際はタスク達成後のプレゼンテーションのみを英語で行っていることが多い。そこで、本研究者はグループ活動を行うための特別授業を通常授業に組み込む必要があると考え、2015年、2016年、2017年に渡り中間言語語用論研究を基に教材開発と教授法の研究を行ってきた。2017年度は、2016年度までに作成したiPad用ビデオ教材と教授法を改良して3つの大学授業にて実践した。また、高校でも利用ができるようにさらに改良を重ね、同じ教材を利用して異なる教授法を作成した。高校で実践する際には文法を重視する傾向が多い。そのため、グループで行うタスク活動の際に生徒が書き出した「言いたくても言えなかった表現」を教師が英訳し、文法別頻度を調査し、頻出文法のリストを作成した。そしてリストを生徒に配布し文法解説を行う授業方法(明示的指導)を追加した。新たに作成した高校用の教授法と実践後に得た頻出文法の結果を、第47回中部地区英語教育学会にて「グループ活動を英語で行うための特別授業導入の提案」と題して発表し、同学会紀要47号に掲載した。大学だけでなく高校にまで授業実践の範囲を広げることができたため、大学での実践結果と高校での実践結果の違いを比較することができた。また、再度イギリスに渡り、同じ形態のタスクで異なる作品を利用してイギリス人大学生にタスクを実践してもらい、その様子をビデオカメラで録画した。録画データを利用して反復用の新たなビデオ教材を作成することができた。
|