研究課題/領域番号 |
15K16811
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研究機関 | 中国学園大学 |
研究代表者 |
福田 衣里 中国学園大学, 国際教養学部, 講師 (50617488)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 教育工学 |
研究実績の概要 |
盗用・剽窃の問題は、日本国内では最近まであまり注目をされてこなかった問題であるが、ここ数年でSTAP細胞問題などにより、研究倫理教育の重要性が取りだたされるようになってきた。特に欧米の大学では、以前から盗用・剽窃は非常に深刻な問題と見なされており、学術的誠実性を裏切った学生は退学処分等の厳しい処置を受けている。そのような流れを受け、日本でも大学生に対する学術的誠実性に関する教育が求められるようになってきている。本研究はそのような研究倫理教育の発展に寄与することを目的として行うものである。 大学入学後から学術論文やレポートの提出を求められるようになった学生にとって、どのような行為がルール違反となるのかわかりにくいことが予想される。さらに、英語でのライティングとなると、その作法に馴染みがない学生がほとんどである。従って、学生の研究倫理教育においては、まず盗用・剽窃とは何かを理解させる必要がある。そして、英語で学術的論文・レポートを書く際のルールや引用作法に関する基礎的知識を身につけさせねばならない。 そのような教育をeラーニングプログラムとして体系的に行うことを目指したのが本研究である。本研究では、eラーニングプログラムの構成を6セクションに分けた。当該年度では、「プレイジャリズムに対する認識の深化」と「文献引用スキルの訓練」の二つのセクションの開発を中心に行い、サンプル問題を作成した。そのために、プレイジャリズムに関する知識・引用の作法をリスト化、レベル分けし、引用マニュアル等の資料を基に引用の状況を整理した。また、引用マニュアル等の資料を研究するだけでなく、学生が遭遇すると思われるライティングの状況を想定した。システムを使用する学生が、システムを使う際に、実際の状況を思い浮かべて、どのように行動すべきか考えられるよう問題を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
eラーニングプログラムの各セクションの詳細な構成を決定した。エッセイライティングの際に参照するパッセージの選定基準を設定し、現在選定を行っている。さらに、セクション1から3に関しては問題数、出題形式、解答の表示方法を決定した。さらに、サンプル問題を設置し、動作確認を行った。また、モデルエッセイとして使用するエッセイを収集するため、1)日本語母語話者であること、2)英語運用能力が英検2級程度以上、3)英語アカデミックライティングの経験があり、引用作法をある程度知っていることを条件に、研究協力者の募集を行った。
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今後の研究の推進方策 |
28年度は募集した中級の英語学習者を対象に、思考発話法を用いたエッセイライティングとインタビューを行う予定である。さらに、29年度に向け、上級者用のエッセイトピックと、引用のためのリーディングパッセージの選定を行う。同時に、各セクションの問題を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度では、本研究が対象とする英語運用能力と英語ライティング経験のある学生の募集を行ったが難航し、予定の時期にデータ収集を行うことができなかった。そのため、来年度、当該年度に行うことを予定していたデータ収集を行う必要があるため、次年度使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度では、データ収集のための旅費、被験者への謝金、プログラム作成料を中心に使用する予定である。現状では2セクションまで開発中であるが、残り4セクションのプログラミングを行うため、前年度より、より多くの費用が発生する予定である。
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