本研究では、古代倉庫制度の検討を通じて、国家支配の構造を解明することを目指した。日唐律令制の比較や木簡を用いた実態的研究により、中国・古代朝鮮諸国など東アジア諸国との制度的比較を試みた。また、天皇・官人・民衆それぞれによる倉庫との関わり方を検討し、支配―被支配関係の形成過程について明らかにした。そして、倉庫制度が古代律令国家の中でどのように機能していたのかについて明らかにした。同時に、倉庫制度の研究に関連して、地方行政や律令財政、また律令制そのものへと研究の視野を広げることで、古代国家の支配構造の一端を提示するに至った。
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