研究課題/領域番号 |
15K16820
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
荒木 裕行 東京大学, 史料編纂所, 助教 (70431799)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 水野忠成 / 江戸幕府 / 老中 / 政治 |
研究実績の概要 |
平成27年度は水野忠成政権を研究するために必要な史料収集およびその内容の分析・検討を進めた。 平成27年度に収集した史料は、首都大学東京付属図書館所蔵水野家文書に含まれる老中日記であり、具体的には水野忠成政権期に老中を務めていた松平輝延・酒井忠進・青山忠裕・牧野忠精・土井利厚・大久保忠真の記した老中日記である。これらの史料は撮影済みであり、マイクロフィルムとして所蔵されているため、そこからのプリントアウトによって収集した。これらの収集した史料を読解し、内容の分析を進めた。 老中日記は、記述内容に幕府の政策決定の課程などの具体的な政治過程が記されていることが少ないため、これまであまり研究に利用されてこなかった。本年度の研究では水野忠成政権期の老中日記を集中的に大量に収集したことにより、日記相互の内容検討や通時的な分析を行い、老中日記を用いて政治過程や権力構造を解明することができるとの結論を得た。老中は役職に就任すると対客を行う。対客とは、諸大名や旗本が老中の屋敷を訪問し、そこで自藩・自家の政治的な要求を老中ヘ申し入れることである。収集した老中日記のうち対客の箇所に注目して分析を行い、老中ごと・時期ごとに対客に差があるのではないかとの結果を得た。これは老中ごと・時期ごとの政治過程や権力構造を示していると考えることができる。現段階では確実な結果はまだ得られていないが、この作業によって水野忠成政権期の政治構造を解明できると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
水野家文書に含まれる老中日記の収集および内容分析に想定以上の時間を要してしまったため、他史料の収集を実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
水野家文書中の老中日記のうち27年度に収集しきれなかった部分を収集する。さらに他の史料についても計画通りに収集を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
史料収集及び内容分析に予想以上に時間がかかってしまい、史料収集が終了しなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
27年度計画未達成部分の史料収集は計画した内容を遂行する。 28年度計画は予定通り実施する。
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