本研究では、以下の点が明らかとなった。第一に、新四国借款団が結成される際、日本外交は同借款団への参加を迅速に決定することができず、イギリスの動向に非常に注意を払っていたことである。日本政府をめぐっては、海外に駐在する外交官からたびたび参加の要求がなされていたにもかかわらず、日本国内の諸政治勢力との政府との調整やイギリス外交への配慮から、日本の参加は遅れることになった。 第二に、日本と新四国借款団との関係に関するイギリスや中国の動向である。新四国借款団は確かに日本やアメリカによってリードされた。しかし、イギリスも引き続き重要な位置を占め、中国も借款団の外から様々な影響を及ぼす存在であった。
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