研究課題/領域番号 |
15K16831
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
笹部 剛史 (若月剛史) 成蹊大学, 文学部, 助教 (30625744)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 官僚制 / 技術官僚 / 日本政治史 / 行政史 / 三等郵便局 / 松前重義 / 科学技術行政 / 公文書管理 |
研究実績の概要 |
本年度は、逓信省が従業員や三等郵便局長をどのように組織化しようとしたのか明らかにできる史料を収集することに重点を置いた。具体的には、国立国会図書館憲政資料室や東京大学の各図書館などで関係史料の収集を行うとともに、群馬県立図書館に所蔵されている中島知久平の旧蔵書(中島文庫)について調査を行った。 さらに、この時期に逓信省内で政治的に台頭した技術官僚(松前重義や本多静雄ら)の動向についても検討を加え、その成果の一部は、日本政治学会2016年度大会で報告した(報告タイトル「昭和戦前期における「技術」をめぐるガバナンス」、2016年10月1日)。そのなかで、逓信省の技術官僚が、省内での待遇に対する不満と、自らが開発した技術(無装荷ケーブル)に対する自負を背景として、内務省をはじめとする他省庁の技術官僚と提携しながら、技術の国産化を目指す「科学技術新体制」を思想的に主導していったことを明らかにした。 他に、ARMA東京支部第113回定例会で、本研究と密接に関わる日本における公文書管理のあり方について、官僚制の歴史的展開過程と照らし合わせながら「日本の官僚制の歴史と文書管理」と題する報告を行った(2016年12月1日)。同報告では、意思決定過程を示すような公文書がなぜ十分に残されていないのか、明治期以降、現在に至るまで、官僚制における意思決定のあり方がどのように変化していったのかという点と結び付けながら明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
日本政治学会での報告のため、当初は予定していなかった逓信省内における技術官僚の政治的動向については分析を行った。彼らの動向は、逓信省を政治史的に位置づけるために不可欠な作業であり、同省の全体像により近接することができたように思われる。 ただし、次年度の転勤に伴う諸作業よって、本年度後半において予定していた史料の分析、論文の執筆などを十分に行う時間を確保することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
研究の最終年度にあたる次年度では、本年度において行うことができなかった史料の分析・論文の執筆に重点を置きながら作業を進めていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度の転任における準備のため、史料の分析、論文の執筆などに十分に時間を割くことができなかったため、それらの作業に必要な資料などの購入費が余ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
史料の分析・論文の執筆に必要な資料などの購入費にあてる予定である。
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