本年度は、逓信省が従業員や三等郵便局長をどのように組織化しようとしたのか明らかにするために、前年度までに収集した史料に基づいて分析を行った。 その成果の一部は、第二回東アジア日本研究者協議会国際学術大会で報告した(2017年10月28日、報告タイトルは「戦前日本の政治と官僚の専門性」)。同報告では、逓信省が、政党内閣の崩壊によって二大政党の影響力が減退するなか、逓信省が、三等郵便局長の組織化を進め、それまで主に二大政党や内務省によって掌握されてきた地域社会のなかに浸食していったことを指摘した。そして、こうした昭和戦前期での動きが、1947年の全国特定局長会(1953年に全国特定郵便局長会に改組)の設立につながっていくという見通しを示した。 また、昨年度に引き続き、本研究と密接に関わる日本における公文書管理のあり方について、官僚制の歴史的展開と関係づけながら分析を行い、その成果を「日本における官僚制の歴史過程から見る公文書管理」(『季報情報公開・個人情報保護』65号)としてまとめた。
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