昭和戦前期における逓信省について、①省内における技術官僚の政治的動向、②三等郵便局長の組織化過程、を中心に検討を加えた。このうち、①については、,松前重義ら技術官僚が、省内での待遇に対する不満と、自らが開発した技術(無装荷ケーブル)に対する自負を背景として、内務省をはじめとする他省庁の技術官僚と提携しながら、技術の国産化を目指す「科学技術新体制」を思想的に主導していったことを明らかにした。また、②については、逓信省が、三等郵便局長の待遇改善問題を契機として、彼らを組織化していく過程を明らかにすることができた。
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