本研究は、中世地域社会史研究の立場から日本中世における戦死者供養の展開と特質を検討するものである。不特定多数を対象とする大規模供養の型式としての「三界万霊供養」に注目し、政治権力レベルだけではなく地域社会への展開過程を追究した。 成果として、まず、諸事例の収集により「三界万霊」文言の歴史的成立と地域社会への導入過程、「三界万霊木牌」の成立・定着過程を明らかにした。また、「三界万霊木牌」の原物調査、関連史料の調査による各事例の具体的検討を進めた。そして戦国時代に地域社会で行われた三界万霊供養を中世民衆の思想的到達点と捉えられることを論じた。 調査・研究の成果は報告書にまとめ、刊行した。
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