包山楚簡について、先行研究や新出土文献から得られた研究成果を踏まえたうえで改めて読解を進め、独自の釈文を新たに作成した。また本研究では包山楚簡に見える行政制度について考察を深めることができた。包山楚簡に見える「県」には行政単位としての「県」のほか、それとは考えられないものも含まれており、春秋時代から戦国時代の過渡期の性質を持っていることを指摘した。包山楚簡中の行政機構について、先行研究ではいわゆる「郡県制」に当てはめて考えるものが大多数を占めていたが、本研究はそういった研究手法に一石を投じる結果となった。
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