研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、(1)インド人政治指導者の自治構想とイギリス帝国観の変容、(2)イギリス本国における帝国政策の変化とインド統治政策の相互作用、(3)英領植民地-インド間の相互認識・思想連鎖・政治連動、という3つの側面から分析することを通じて、第一次世界大戦が植民地インドのナショナリズムに与えた影響を解明することである。 資料収集に関しては、連合王国(UK)・ロンドンの大英図書館(British Library)において、1928年から1931年初頭までの新聞・雑誌記事や日本国内ではアクセスが困難な文献を中心に大量の資料を集めることができた。これにより、先行研究が手薄なこの時期における北インド(特に連合州United Provincesとベンガル州Bengal Province)の政治動向の詳細を把握するとともに、第一次世界大戦がインド政治に与えた長期的影響を分析することが可能になった。インド以外の植民地やイギリス本国の政治史に関する文献も順調に収集することができた。 研究成果の公表に関しては、Memories of the Research Department of the Toyo Bunko, No.76(東洋文庫)に論文「Colonial Indian Nationalists on the British Empire before and after the World War I」を寄稿した(2018年度刊行予定)ほか、『東アジアと第一次世界大戦』(ミネルヴァ書房、2018年刊行予定)に寄稿した「第一次世界大戦とインド:植民地ナショナリストからみた帝国秩序」の改訂作業を行った。
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