都市ローマおよび教皇領という土地と社会は、教皇を支える無数の人材や物資の供給地として、ときに権力闘争をもたらす地盤として機能した。教皇領に関しては、教皇領統治のための代官がどの程度、教皇側近である教皇礼拝堂付司祭を経験者していたのかを調査した。その結果、13世紀を通じて、両職務がしばしば重複していることを確認できた。これは教皇権が代官の職務を重視していたことを示す。中世ローマの統治については、教皇庁と対立すると捉えられがちな元老院政府の特徴を検討し、諸勢力にうまく対応しながら折々の状況を切り抜けるという、その柔軟性をとらえることができた。
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