研究実績の概要 |
3年間の研究プロジェクトの最終年にあたる平成29年度は、黒人の入居を制限する制限制限的不動産約款に対して、公民権運動団体がどのような活動を行っていたか明らかにするために、代表的な公民権運動団体である全国黒人協会(the National Association for the Advancement of Colored People, NAACP)の史料収集と、平成28年度に引き続きシカゴにおける公民権運動の事例を検討した。前半の4月から7月は当初の計画通り、アメリカのメリーランド州にある国立公文書館で平成28年度に収集した連邦住宅局と住宅都市開発省(Department of Housing and Urban Development)のコレクションを中心に分析を行った。8月にはワシントンDCにある議会図書館でNAACPの史料を中心に収集した。平成29年度後半には、夏に収集したNAACPの史料分析を行うと共に、1966年のシカゴで展開されたシカゴ自由運動の後半部分を検討した。平成28年度に考察したシカゴ自由運動の前半部分を踏まえた上で論文を執筆し、平成30年2月に「シカゴ自由運動再考(下)-住宅開放運動から頂上合意へ-」というタイトルで『岐阜聖徳学園大学紀要<外国語学部編>』第57集に投稿し、掲載された。平成30年3月には立命館大学国際言語文化研究所ヴァナキュラー文化研究会より依頼され、「西欧の伝統に対するアフリカン・ディアスポラ文学の交渉と実践-アメリカ、キューバ、ブラジルを例-」というテーマの研究会で、これまで取り組んできた公民権運動研究の立場からコメントを行った。
|