本研究は、20世紀中頃のアメリカ合衆国における公正な住宅を求めた黒人の活動を、住宅改革家との関係に注目しながら考察することを目的とした。連邦住宅局(FHA)と全国黒人向上協会(NAACP)の住宅問題に関する一次史料の収集は、ほぼ予定通りに実現した。それらの史料を用いて、制限的不動産約款を廃止した連邦最高裁判所による1948年の「シェリー対クレーマー判決」の重要性を検証し、黒人の社会生活にとって転機となっていたことを明らかにした。そして公民権運動時代の都市住宅問題に取り組んだ1966年シカゴ自由運動を再考することで、本研究では都市住宅問題は公民権運動と密接な関連性があることを示した。
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