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2017 年度 実績報告書

近世的支配形成のダイナミクス―魔女迫害と近世国家

研究課題

研究課題/領域番号 15K16859
研究機関新潟大学

研究代表者

小林 繁子  新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (20706288)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード魔女 / 請願 / 宗教改革 / ポリツァイ
研究実績の概要

本研究は、請願と君主権力による上下双方向からの相互応答的・近世的な国家形成の動きを、魔女裁判という具体事例に即してその意義と発展をとらえる法制史的試みである。ここでは、魔女迫害を狭い事件史としてではなく、「国家形成」という文脈から在地レベルでの支配の実態を明らかにする豊富な事例を提供するものとして新たに提示することを目的とし、その具体的様相として「神罰」という概念が近世刑事司法において大きな意味を持つことに着目した。
近世において世俗権力が「神への冒涜」を死刑に値する犯罪とし、自らその取締りに乗り出したことはよく知られている。涜神を取り締まらない当局に対しては飢饉、戦争、悪天候、疫病などのあらゆる神罰が下るという言説と魔女迫害との関係は、魔女犯罪が極めて涜神と近い位置にある犯罪にもかかわらず、今まで扱われてこなかった。そこで申請者は、涜神と魔女犯罪、神罰とのかかわりが史料上でどのように表れるのか、都市条令、同時代知識人によるテキスト、民衆からの請願という三つの位相から分析を行った。対象地域として魔女裁判の激甚地域であったマインツ選帝侯領と、隣接地域でありながら反対に魔女の処刑をほとんど経験しなかったファルツ選帝侯領とを比較した。この分析を通じて、災害を神罰とする解釈と魔女の仕業とする解釈が混在し、やがて魔女を罰しないこと(涜神を放置すること)が神罰を招くという解釈すらも生まれたことを示した。これらの成果は、論文「魔女迫害と「神罰」―プロテスタントとカトリック―」(踊共二編『記憶と忘却のドイツ宗教改革―語り直す歴史 1517-2017-』ミネルヴァ書房、2017年)、「宗教改革期・平信徒の心性から見るキリスト教と魔女迫害」(『宗教改革と現代―改革者たちの500年とこれから』新教出版社、2017年)で発表された。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] <魔女>は例外犯罪か―近世ドイツにおける犯罪と拷問2017

    • 著者名/発表者名
      小林繁子
    • 雑誌名

      思想

      巻: 1125 ページ: 51-67

  • [学会発表] 犯罪者と悪魔-近世ドイツの印刷メディアから2018

    • 著者名/発表者名
      小林繁子
    • 学会等名
      TGU公開シンポジウム 「魔女とマス・メディア ―ヨーロッパ近世の他者のイメージをさぐる」
    • 招待講演
  • [学会発表] 神罰と支配の論理―ファルツ選帝侯領を事例として―2017

    • 著者名/発表者名
      小林繁子
    • 学会等名
      比較国制史研究会
    • 招待講演
  • [図書] 宗教改革と現代2017

    • 著者名/発表者名
      新教出版社編集部
    • 総ページ数
      326
    • 出版者
      新教出版社
    • ISBN
      4400307174
  • [図書] 記憶と忘却のドイツ宗教改革2017

    • 著者名/発表者名
      踊 共二
    • 総ページ数
      352
    • 出版者
      ミネルヴァ書房
    • ISBN
      4623081338

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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