研究課題
若手研究(B)
1878年に活動を開始し、ロシア革命後の1924年に消滅したロシア義勇艦隊の歴史の全体像を描くことができた。先行研究では、発足の経緯についてはある程度明らかになっていたものの、その活動実態や役割がどのように変化していったのかについては、不明なことが多かった。本研究ではセルゲイ・ヴィッテの義勇艦隊改革案が持つ意味を検討したうえで、20世紀に入ってからの義勇艦隊の活動を明らかにし、オデッサを拠点とする他の汽船会社との競合関係に考察を進めた。
歴史学
ロシア義勇艦隊はオデッサとウラジオストクを結び、長崎を含む南アジア、東南アジア、東アジア各港に寄港した。ロシアとアジアの関係を考えるのに重要な存在であり、ロシア史家の間で名前は知られているものの、実態はほとんど明らかになっていなかった。ロシア帝国の東西の港を拠点とし、アジアの多くの港に立ち寄った義勇艦隊の歴史を明らかにしたことは、広大な帝国の統合、ならびにロシアと世界経済の関係を考える上で、重要な一歩となった。