研究課題/領域番号 |
15K16861
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
黒田 祐我 信州大学, 学術研究院人文科学系, 准教授 (50581823)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | フロンティア / 中世 / スペイン / イスラーム / ナスル朝 / 文化変容 / キリスト教 / 地中海 |
研究実績の概要 |
1.対ナスル朝「境域」ヘレス・デ・ラ・フロンテーラにおける未刊行史料の調査と収集 昨年度に引き続いてヘレス市立古文書館(Archivo Municipal de Jerez de la Frontera)にて15世紀の「境域」情勢に関する情報が記載されている都市参事会議事録の調査を実施した。昨年度の調査対象(1447~1467年)以後の時期(1468~1480年)と前年度の調査対象以前(1410~1443年)の議事録の調査を網羅的に行ない、対ナスル朝に関連する情報が盛りこまれている箇所の電子化を行った。なお、本年度に調査した議事録も劣化が急速に進行しているため、議事録全体の早急な電子化による保存が必要となることを現地の古文書館職員とともに確認しあい、対応の検討に入っている。 2.西地中海圏における中世後期の政治外交関係へ向けた準備 バルセローナの王立古文書館(Archivo de la Corona de Aragon)で、将来的に網羅的な調査を予定している対マグリブ関連の未刊行文書の残存状況の予備調査を実施した。 3.研究成果の公開を行った。上記の調査結果を部分的に用いつつ、昨年に引き続き、口頭報告と論文にて「境域」で活躍した仲介者の活動実態に関する研究を公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の第一目標であったカスティーリャ・グラナダ「境域」の西方都市ヘレス・デ・ラ・フロンテーラの古文書館の調査は、予想していた以上に成果を収めており、その解読成果も、部分的に公表することができている。 他方で、もう一つの調査対象であった同「境域」の東方部に位置する都市ロルカの古文書館の調査は、協力を期待していた研究者との連絡の不備によって、実際の調査で成果をあげることができなかった。 そこで本年度はこの連絡の不備を補うべく、急遽、調査地をバルセローナのアラゴン王立古文書館に変更することで、西地中海圏をめぐる宗教を超えた政治・外交交渉の実態を将来的に解明していくにあたっての予備調査を実施した。本研究課題の目的であるナスル朝領域の社会の実態を別の角度から検討するための足がかりを獲得することを目指して行なわれた本予備調査は、一定の成果をあげることができたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終年度である平成29年度は、以下の三つの課題を推進していく。
1)ヘレス市立古文書館で調査を行った15世紀の議事録の調査の完了と成果の公表 2)都市ロルカ古文書館の調査の実現 3)上記の二点の成果をふまえて、西地中海圏の政治と宗教を超えた諸交渉を分析していくにあたっての枠組みの模索
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