研究課題/領域番号 |
15K16863
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
津田 拓郎 愛知県立大学, 外国語学部, 非常勤講師 (70568469)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | カロリング / 初期中世 / フランク / シャルルマーニュ / カール大帝 / 記憶 / 神話化 |
研究実績の概要 |
今年度は当初の予定通り、研究課題に関係する先行研究の収集・把握と、史料中の「先人の治世」への言説の網羅的な収集・分析を行った。こうした作業の中で、詳細な調査に値する事例が存在する事を確認することもできた。そのような事例の1つとして今年度集中的に取り組んだのは、「トゥール・ポワティエ間の戦いの神話化」というテーマであり、その成果は平成28年度中に国内の全国査読誌に論文のかたちで刊行されることが決定している。その他の事例については、次年度以降により具体的な分析を行い、学会発表や論文のかたちで成果を披露できる見通しである。 また、今年度は、「カピトゥラリア」に関する研究成果をドイツの定評ある査読誌に、論文のかたちで公表することができた。当該論文は、「シャルルマーニュ治世こそがカピトゥラリアの最盛期」であるとする従来の見解を見直すことを主張したもので、「カロリング後期におけるシャルルマーニュ治世の理想化・神話化」の解明という本研究における最重要テーマにとっても極めて重要な意義を持つ成果であると言って良い。こうした業績をドイツ語で刊行できたことで、今後国外の研究者らと本研究計画についても議論を深めていく可能性もより高まっていくことだろう。 最後に、隣接諸分野を専門とする若手研究者らとともに、新たに研究会を組織し、4度にわたって会合を重ね、研究に関する議論や情報交換を行ったことも付記しておきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通りに研究が進展しており、ドイツ語で研究成果を公表することもできたため、本研究課題は「おおむね順調に進展している」と考えてよいと思われる。他方で、さまざまな事情が重なった結果、今年度は、当初予定していたドイツに滞在しての調査・分析を行うことは断念せざるを得なかった。この点については、インターネット上に公開されているデータベースを積極的に活用するとともに、MGH図書館等からインターネットを介して多数の資料を取り寄せることで、相当程度埋め合わせができたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後も当初の予定通り研究課題を遂行していく。なお、初年度における網羅的調査により、いくつかの事例に焦点を絞り、それらについて集中的に分析を加えていくかたちで研究を進めていくという方向性が定まりつつある。
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次年度使用額が生じた理由 |
さまざまな理由によりドイツに渡航して行う事を計画していた資料収集を断念せざるを得なくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
物品費、旅費として使用していく。
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