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2016 年度 実施状況報告書

カロリング期における「記憶の管理」と統治構造の研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K16863
研究機関愛知県立大学

研究代表者

津田 拓郎  愛知県立大学, 外国語学部, 非常勤講師 (70568469)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワードカロリング / 初期中世 / フランク / シャルルマーニュ / カール大帝 / 記憶 / 神話化
研究実績の概要

今年度は、昨年度行った先行研究の把握から浮かび上がってきた、「いくつかの事例に焦点を当てて『記憶の管理』及び『記憶の神話化』の具体的な有り様を明らかにしていく」という課題に取り組み、研究成果を定評ある学術誌に2本の論文の形で公表することができた。
今年度の成果の一つは、昨年度以来取り組んできた「トゥール・ポワティエ間の戦い」の記憶が変化し「神話化」していく様を明らかにしたものであり、もう一つは、現代の研究者が「『カピトゥラリア』を発布した『教会会議』」とみなしてきた794年フランクフルト会議の同時代における認識を分析したものである。いずれの論文も、本研究計画の遂行のために極めて有益な議論をもたらすことが期待されるもので、実際にすでに多くの研究者から様々な反応が集まっている。これらの事例については、論文の公表と同時に考察をやめてしまうのではなく、論文を出発点として今後も多くの研究者らと議論を重ねていくことで、よりはっきりとその意義が浮き彫りになっていくことが期待できる。
また、今年度後半からは、シャルルマーニュ期に関してさらに異なる事例を取り上げて「記憶の管理」及び「記憶の神話化」のあり方の分析に着手しており、次年度以降に学会発表や論文の形で成果を公表することが予定されている。
なお、昨年度に引き続き隣接諸分野を専門とする若手研究者らとともに行っている研究会において、今年度も3度会合を行い、各分野における研究動向や各自の最新の研究成果に関して議論や情報交換を行ったことも付記しておきたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は定評ある学術誌に2本の論文を公表することができたため、「おおむね順調に進展している」と考えて良いものと思われる。他方、年度末に所属研究機関の変更が決まる等、研究計画作成時には予測できない事態が生じたことで、昨年度に引き続きドイツに滞在しての調査・分析は行う時間を得ることができなかった。この点については、MGH図書館等からインターネットを介して資料を取り寄せることで、かなりの部分埋め合わせを行うことができたと考えているが、残りの研究期間において少なくとも1度短期的に渡欧して資料収集・情報交換を行う必要があろう。

今後の研究の推進方策

2年間の先行研究整理・事例研究をつうじて、さらに個別事例についてのケーススタディを進めることで、当初の研究目的を達成できるとの見通しが得られている。なお、所属研究機関の変更に伴い、新たな物品の購入などが必要となる見通しである。

次年度使用額が生じた理由

年度末に研究機関の変更が決まるなどしたため、海外出張を断念せざるを得なくなったため。

次年度使用額の使用計画

物品費・旅費として使用していく。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 2件)

  • [雑誌論文] トゥール・ポワティエ間の戦いの「神話化」と8世紀フランク王国における対外認識2016

    • 著者名/発表者名
      津田拓郎
    • 雑誌名

      西洋史学

      巻: 261 ページ: 1-20

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 794年フランクフルト集会で生まれた一文書に関する「史料の歴史」とシャルルマーニュ時代の統治行為における文書利用2016

    • 著者名/発表者名
      津田拓郎
    • 雑誌名

      歴史学研究

      巻: 952 ページ: 25-36

    • 謝辞記載あり

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公開日: 2018-01-16  

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