研究最終年度にあたる平成30年度は、当初の研究計画の中では、修道院の「コミュニケーション」に関連する史料調査の実施、海外研究協力者との面会、研究論文の執筆、ホームページの作成が挙げられていた。それに加え、研究遂行期間を一年間延長したため、3年間で実施できなかった海外調査や史料調査を部分的に補足する作業もこの年度の計画に新たに加えられたものである。 まず、パリ近郊のポール=ロワヤル=デ=シャン修道院について、土地取得や分割・所有に関する史料を収集した。また、最終年度の課題であった修道院と信徒との間の「コミュニケーション」に関連する史料や研究文献の収集にも努めた。そのため、修道院の「コミュニケーション」に関連する史料調査の実施は完了した。 つぎに、研究計画に挙げていた近世フランスにおける修道院に関するホームページの作成についてであるが、データベース作成のための資料収集と映像の撮影を目的とした現地調査をフランスで実施した。最終年度中にホームページやデータベースの完成と公表に至らなかったが、その基礎となるデータの収集は完了した。 さらに前年度にキリスト教史学会と都市史学会とで発表した研究成果を論文の形でまとめる作業を進めることができた。海外研究協力者との面会は本年度は実施しなかったが、すでにこれまでの3年間で十分に情報を得ることができていたため、特に問題はなかった。 現地調査と研究成果の公表以外に、研究文献や資料の購入とそれについての整理もほぼ予定通りに遂行できた。
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