本研究は銅鐸の使用痕分析によって弥生時代の祭祀がどのように転換するのかを実証的に明らかにすることを目的とした。使用痕分析はデジタルマイクロスコープによる表面観察を中心におこなった。 成果の一つとして青銅器の使用痕分析の方法論を確立することができた点が挙げられる。また国内外の学会でそれを発信した。銅鐸の使用形態については、扁平鈕式銅鐸の新段階において使用痕跡が不明瞭になることが確認された。この段階ですでに「聞く」銅鐸から「見る」銅鐸への転換が始まっていたと考えられる。またそのような祭祀形態の転換の要因の一つとして、寒冷化による環境変動を挙げた。
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