本研究は、先史時代における太平洋西部島嶼地域の貝類利用の内容やその変化を明らかにし、各地域の独自性と共通性を明確にすることで「島嶼地域」における人類の移動や交流、先史文化の境界線を物質文化から新たな視点で捉えなおすことを目的とした。琉球列島では縄文時代後晩期の貝製装飾品を分析し、製作技術の導入と、沖縄諸島から奄美諸島への装飾文化の伝播を示唆した。6~9世紀頃の琉球列島で盛行した広田上層式貝符を分析し、型式変化を示し、出自と画期に言及した。琉球列島、フィリピン、マリアナ諸島の貝製品を集成した。その組成を比較し、共通性と相違性を明らかにすることで、今後の研究の基礎とした。
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