平成28年度は,位置合わせ後の点群データを入力とし,(1)点群データの欠損検出,(2)点群データの欠損補間,に関するシステムを開発した.以下に研究実績の概要を示す. (1)点群データの欠損検出 位置合わせ後の点群データに対して,密度変化の影響を低減した欠損検出を実現した.本手法では,点の3次元的な位置情報に加えて疎密情報を評価し,欠損可能性を算出した.具体的には,注目点を中心としたボロノイ領域の形状を評価し,注目点の疎密情報を抽出した.これにより,点の密度変化に頑強な欠損検出手法を確立した.本手法を複数の点群データに対し適用し,従来手法と比較することで有用性を検証した.成果は,FIT2016 第15回情報科学技術フォーラムおよび平成29年電気学会全国大会にて発表を実施した. (2)点群データの欠損補間 平成27年度に引き続き,欠損近傍の点を利用した欠損補間手法を開発した.欠損近傍点の精度を重視した曲面フィッティングを行うことで,補間点の精度を向上することができた.本手法を有償のソフトウェアによるhole filling等と比較し,手法の有用性を示した.比較実験の結果から,本手法は凹凸の激しい領域に対する欠損補間に有効であることを確認した.また,高速な補間が可能であるため,多数の欠損補間にも適した手法となった.成果は,FIT2016 第15回情報科学技術フォーラムにて発表を実施し,FIT奨励賞を受賞した. 研究期間全体を通じて,3次元計測で得られた点群に対し,(a)自動位置合わせ,(b)欠損検出,(c)自動欠損補間の手法を確立した.提案手法は,3次元モデル構築のために必要な処理の一部であり,実験を通して支援技術として有用性を示すことができた.
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