本研究は、前近代における国内で作成された多様な地誌や産物帳に記載の動植物について、18~19世紀の動植物の分布相にアプローチするための地理学的基礎研究である。それは、近年進行してきた環境改変の広がりを照射させる有益な空間データとしての可能性を視野に入れている。 まず東北地方の産物データの収集に努め、5種類の資料から岩手県および山形県で植物・動物のデータベースを作成した。 分析の一例として、山形県の山菜の種類とその利用に関する分析を報告した。また岩手県においては、19世紀前期に気仙郡で確認できる「ハマボウフウ」や「ヒロハクサフジ」については、両者の分布が現在と大きく異なっていることがわかった。
|