研究課題/領域番号 |
15K16886
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
桐村 喬 東京大学, 空間情報科学研究センター, 助教 (70584077)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 単身世帯 / 核家族世帯 / 地理的分布 / 賃貸住宅 / 小学校児童数 |
研究実績の概要 |
本研究では、研究目的の達成に向けて以下の3つの作業課題を設定しており、本年度は、それぞれの作業課題についての分析を進めた。 作業課題A:核家族世帯の地理的変化に関する分析 作業課題B:単身世帯の地理的変化に関する分析 作業課題C:三大都市圏における世帯構成の地理的変化に関するメカニズムの解明とモデル化 まず、作業課題Cに関連して、三大都市圏を対象に、メッシュ単位でジオデモグラフィクス(小地域単位の居住者地区類型)を作成し、都市構造の変容について分析した(AAG 2015 Annual Meeting)。1985年から2010年までの5年おきの静態的な状況と、各時点間の動態的な状況についてのジオデモグラフィクスからは、従来から個別の研究で指摘されてきた都心回帰と郊外の二極化が観測され、都心回帰による都心部での単身世帯・核家族世帯の増加と、郊外での核家族世帯の減少と単身世帯の増加傾向が認められた。また、作業課題A・Bに関して、民間賃貸住宅の供給状況と、地域の人口構成の変化の関係についての分析を、東京23区を対象に行った(2015年日本地理学会秋季学術大会)。加えて、作業課題Aに関して、公立小学校児童数データを利用して、1960年から2015年までの分析を行った(2016年日本地理学会春季学術大会)。この分析の結果として、核家族世帯を中心とする郊外化が1960年代から1970年代に急速に進んだ一方、その後の郊外での核家族世帯の増加はごく限られた地域のものへと変化し、近年は都心の一部でまとまった増加がみられるようになったことが示された。このほかに、若年単身世帯の多くを占めると考えられる大都市圏への流入人口を把握するために、沖縄系住民および韓国系住民の居住地域を、住宅地図データを用いて検出することを試み、とりわけ沖縄系住民の居住地域の検出については、十分な結果を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
それぞれの作業課題に関して、順調にデータ作成作業および分析、研究成果の発表が進んでおり、おおむね順調に進展していると判断した。ただし、当初計画とは異なり、一部のデータに関しては、東京大都市圏よりも、京阪神大都市圏に関する作業が中心となってきたため、今後は東京大都市圏に関するデータ作成に注力する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者の所属機関が変更となったものの、研究計画の遂行には大きな影響はないと予想される。引き続き、3つの作業課題に関するデータ作成や収集作業を進め、必要に応じて1~2名程度の学生をアルバイトとして雇用し、データ作成を効率的に行う。得られた成果については、順次国内外の学会で発表するとともに、論文としてまとめ、査読付雑誌に投稿する。また、近年のオープンサイエンスに向けた動きを鑑み、公開かつ他の研究者による利用が可能なデータについては、東京大学空間情報科学研究センターの研究者独自作成データの公開の枠組みを利用して、データを公開する。
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