本研究の目的は、日本の三大都市圏における世帯構成の地理的な変化に関するメカニズムの解明である。1980年代までの世帯構成の地理的変化のメカニズムは、住宅の所有状況の影響を強く受けてきており、分譲住宅では、ライフステージに合わせた世帯規模の変化が生じ、賃貸住宅や給与住宅では、居住者の流動性が高く、主たる世帯構成は大きく変化してこなかった。1990年代以降、給与住宅が減少した一方、分譲マンションの供給が都心部や都心寄りの地域で進んだ。この時期に供給された分譲マンションには単身世帯の入居も多く、単身世帯の大幅な増加が進み、世帯構成の地理的変化のメカニズムを変えてきていることが明らかになった。
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