本研究では,1980年代後半からの「開発輸入」を通じて海外に形成された日本企業主導の農産物輸入の仕組みやその産地がどのように変容しつつあるのか,すなわち,「ポスト開発輸入」の食料調達様式についての体系的な分析を試みた.その結果,多くの地域・品目において,当初の日本企業主導による生産・調達様式が崩れ,現地の巨大企業との相対取引へと移行していること,その背後には,進出先企業の能力向上,進出先および第3国市場における当該品目の需要拡大,日本企業の購買力低下という諸要因が働いていること,そうした動態には品目・地域間で違いがあり,上記の諸要因がそれらの経路に深く関係していることが明らかとなった.
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