研究課題/領域番号 |
15K16893
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研究機関 | 鹿児島県立短期大学 |
研究代表者 |
宍戸 克実 鹿児島県立短期大学, その他部局等, 准教授 (30535133)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | イスタンブル / 社交空間 / カフェ |
研究実績の概要 |
本研究は,近現代イスタンブルの多様な都市文化を担う「社交空間」に着目し,その分布と建築形態の変容過程について,イスタンブル火災保険地図(20世紀初頭作成)の分析と現地調査を踏まえながら明らかにすることを目的としている。史料分析は概ね計画通りではあるが,近年までのトルコ情勢の影響により,現地調査による現状把握作業が遅れている。研究計画ではイスタンブルの旧市街の5地区,新市街の4地区を対象としていたが,中心部から離れた3地区(フェネル,バラト,カラキョイ)の調査を優先して実施してきた。また,内陸の小都市サフランボルの伝統的カフェ施設についても調査を行った。想定外の事態に備え代替研究として位置付けていたカイロ(エジプト)については,別資金による研究(トヨタ財団「歴史的カイロにおいて歴史的建造物と伝統的居住様式を軸として持続的コミュニティを考える」本人共同研究者)機会を得たことから,本研究予算からの執行はなかった。よって研究計画を一年延長し,改めて情勢の安定したイスタンブル調査・研究を継続することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
課題目標として,①近現代の地図史料から「社交施設」の抽出と分類,②近現代の地図史料から「歓楽街」の抽出と分類,③社交空間の現代的分類・形態の解明,④近現代を通じた空間変容過程の解明,の4項目を設定していた。①と②については概ね計画通りの進捗であるが,現地調査が計画通り実施できなかった影響により③と④については遅れている。一方,代替研究と位置付けていたカイロについては,別資金による研究となったものの進捗があった。カイロ旧市街全域を悉皆的に調査し,カフェ施設の立地・形態の確認作業完了することができた。また,カイロのダウンタウン地区火災保険地図を入手し,部分的な現地調査を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度の今年度は研究計画に基づき,イスタンブル旧市街地区・新市街地区・歓楽街地区における社交施設の位置と形態のデータベース完成を目指す。また,複数回の現地調査を実施し,現在の状況について把握する。過去と現在の社交施設の分布と建築形態について分類し,空間特製の継承・変容過程について実証的に解明することを試みる。 代替研究により得たカイロの成果については,イスタンブルとの比較研究にも有用であるため,今年度以降の別課題として継続する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
トルコの現地情勢により現地調査の実施を見合わせたことが影響した。情勢が安定してきたことから,今年度は複数回の現地調査を予定している。また,初年度に購入した作図ソフトの更新と,現地で仕様する計測機器の購入,及び現地で購入予定の研究図書等による予算執行を計画している。
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