研究課題/領域番号 |
15K16894
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山田 亨 筑波大学, 人文社会系, 助教 (60706943)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 人類学 / 法社会学 / 文化遺産 / 行政法 / 法認識 |
研究実績の概要 |
本研究は、平成27年1月に文化庁からユネスコに正式に世界文化遺産の候補として推薦された「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」を例として、世界遺産条約が地方行政や地域社会の中でどのようにして社会的な実態を持っていくのかを人類学的に明らかにすることを目的としている。具体的には、今回推薦の対象となった構成文化資産がある長崎県五島市での人類学的なフィールドワークを中心として、これまでの正式推薦に至るまでに取組まれてきた文化財保護法や土地利用規制法などの制定・施行をはじめとした取組をふまえながら、自治体関係者および地域住民の法認識を分析することで、国際条約である世界遺産条約が長崎・五島の社会の特性を吸収しながらどのような独自性を持ちながらも、国際的な共通性を維持していくのかということを検証する。 平成28年度は平成28年6月と平成29年2月の2回に渡り長崎県五島市での現地調査を行った。6月は五島市および近隣の新上五島町、また、長崎市で、行政の取組みの状況に関する聞き取りを行い、法整備の特性に関する調査を行った。また、平成28年の2月の調査では、行政担当者および教会関係者、そして、近隣住民と世界遺産にかかわる法認識の参与観察型の調査を行った。 上記の現地調査および前年度からのフォローアップコンタクトを基に、平成28年6月のSociety for East Asian Anthropologyでの発表、平成28年11月のAmerican Anthropological Associationでの発表・情報交換を行うとともに、現在、論文を執筆中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成28年度に関しては、遅れている。平成28年2月の文化庁がUNESCOに対する推薦書を取り下げ・延期もあり、地元住民と行政関係者の国際法と各種法律の認識の違いが逆に明確になったのではあるが、当面の間論文などで公開できる情報の精査が必要になったことがあげられる。 また、学会での報告は目標を達成することができたものの、全体的には本研究以外の業務とのバランスを再調整が必要があり、そのため、平成29年度は執筆にも時間配分を割く予定である
|
今後の研究の推進方策 |
平成29年度は前年度の現地調査とその分析を踏まえ、数回の追跡的な参与観察を実施する。本年度も状況に合わせ臨機応変に対応することにより限られた調査期間においても効果的な調査に取り組めるようにするが、本年度は調査の分析を取りまとめ、執筆、報告に機軸をおく予定である。その中でも11月のAmerican Anthropological Associationでの報告、12月の Asian Law and Society Associationでは、本研究の最終段階的な報告にする予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
学生指導業務や学生の留学に関わる事件対応等の業務が予想以上に多く入ってしまい、やむをえず研究計画のうち現地調査の短縮、および、入手資料の論文を含めた報告作業に遅延と追加の必要が生じてしまったため、主に旅費を次年度使用額とした。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度は、現地で追跡的な参与観察を実施する。次年度は、状況に合わせ臨機応変に対応することにより限られた調査期間においても効果的な調査に取り組めるようにする。また、次年度は調査の分析を取りまとめ、執筆、報告に機軸をおく予定である。その中でも11月のAmerican Anthropological Associationでの報告、12月の Asian Law and Society Associationでは、本研究の最終段階的な報告にする予定であり、当初の計画どおり、その旅費として使用する。
|