研究課題/領域番号 |
15K16896
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
田村 うらら 金沢大学, 国際文化資源学研究センター, 特任助教 (10580350)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 手工芸 / 人類学 / トルコ / 絨毯 / 生産・流通・消費 / 持続的発展 |
研究実績の概要 |
初年度である平成27年度は、夏期に従前の調査国であるトルコ共和国内で、40日余りに及ぶ現地調査および資料収集を実施するともに、英語論文の執筆・投稿を行なった。 現地調査期間の前半には、新規の調査地で、80年代から伝統天然染色の手織り絨毯復興プロジェクトの拠点となって来たマニサ郡Orselli村に通い、関係者への聞き取り調査および観察を行ない、同プロジェクトの推移やあまり報告されていない2000年代以降の現況を把握することができた。 その後は主に報告者の従前の調査地であるミラス地方のミラス市および周辺村落部において、絨毯生産・流通・消費に関わる人類学的調査を行なった。その結果、数年前に比して生産活動をめぐる環境変化が起こりつつあること、ミラス絨毯が地元において徐々に「保護されるべき遺産」になりつつあることとが認められた。 さらに加えて、現地の大学教員でミラス絨毯研究者であるベルナ・セヴィンチ氏とミラス絨毯の生産・流通と保護の現況や今後の研究協力・プロジェクト展開の可能性について意見交換も行なうことができた。 以上のように、当初調査を二度に分けて行なう予定であったことを、本務の都合により1回に集中させたことを除けば、概ね予定していたとおりに現地調査を遂行し、重要なデータや資料を収集することができた。 また、研究成果発信の点では、査読付き英文ジャーナルに、トルコ絨毯の伝統的産地村落部にグローバル経済が及ぼした影響とその「ローカル化」の様相についての論文を執筆・投稿し、受理された。さらに、日本文化人類学会の北陸地区例会等においても積極的に研究発表を行ない人類学者たちと議論を交わした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね当初の予定通りに現地調査によるデータおよび資料収集、分析等の研究活動を進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
翌年度以降は、徐々に研究成果の取りまとめに重点をシフトしたい。現地調査もまだ必要であるが、昨今のトルコ国内の治安状況の悪化にやや懸念を抱いている。万が一これ以上悪化することがあり、トルコ国内での対象地域での調査が困難と判断する場合には、同様に絨毯生産の伝統があり類似の言語が話されている隣国アゼルバイジャンなどでの調査で代替することも検討したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初2度に分けてトルコ共和国における調査を行う予定であったが、本務の都合で1度にまとめて行なったために、結果的に92,038円の残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は当初予定の3週間よりもやや長めの現地調査を行なうことで、前年度の調査で積み残した課題についてのデータを集めたい。そのための追加の滞在費等に繰り越し分を使用する予定である。
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備考 |
金沢大学研究者情報のページは、上記URLにアクセスの後、田村うららと入力してサイト内検索すると、個人の研究教育内容詳細ページに進むことができる。
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