本研究期間の2年目(2016年)に、テロやクーデター未遂等、調査対象国の急激な治安不安定化に伴い、途中で調査国および研究内容の変更を迫られたため、研究成果としてはやや拡散した。変更前の主たる成果としては、通称DOBAGと呼ばれる、トルコ絨毯復興プロジェクト実施村の2000年代以降の衰退過程と現況を詳細に把握したことである。また、変更後の主たる成果は、トルコと言語的・民族的共通性が高く、絨毯の伝統を誇る隣国アゼルバイジャンの絨毯生産・流通の現状を多層的に把握したことである。また、国家の絨毯文化・産業への強い関与が、絨毯のアート化・遺産化を主導している過程を明らかにすることができた。
|