研究課題/領域番号 |
15K16901
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
箕曲 在弘 東洋大学, 社会学部, 講師 (70648659)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 協同組合 / 農業集団化 / コーヒー / ラオス |
研究実績の概要 |
平成27年度は8月に現地調査を実施し、首都ビエンチャンにおいて、ラオス農林省農業普及組合局の役人よりラオスにおける協同組合に関する法整備の状況について聞き取り調査を実施した。同時に、協同組合に関する首相令などいくつかの協同組合関連の政府文書をいただいた。その後、ラオス南部チャムパーサック県パークソーン郡を訪れ、そこで展開するコーヒーの売買を中心にした農業協同組合において関係者に聞き取り調査を行った。同時にここでもいくつかの協同組合関連の文書をいただいた。 これらの資料を分析した結果見えてきたのは、ラオス政府のトップダウンの制度化と民衆レベルの草の根的な農業集団化の動きとの接合の様態である。これまでラオスでは民衆の自発的な農業集団化の動きはほとんど見られなかった。だが、この数年のうちにさまざまな「社会的要因」が作用し、農家自らが他の農民を集めて組織を作ろうとする動きがみられた。一方、そのような農家は、政府が整えつつある協同組合の制度上の枠組みを利用し、国外研修の機会を得るといった新たな農家の生計戦略が見いだせるようになった。政府側も、貧困削減のひとつの手段として農業を集団化し、国外の援助の受け皿とする一方、農産物を海外へ輸出する窓口とするべく、隣国のタイを見習うなどして積極的に協同組合の制度を整備する意向が見られた(現段階では首相令にとどまり、協同組合法まではできていない)。 今後は、上記の農家の自発的な組織化がいかなる条件のもとに成立したのかを社会的な文脈に配慮して明らかにしていく作業を行う。一方、政府の協同組合に関する制度化の内容を精査し、隣国の類似の制度との共通点と相違点を明らかにし、ラオスにおける協同組合の特質を見出していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初から予定していたラオスにおける現地調査を滞りなく敢行し、聞き取り調査や文書の獲得を通して、必要な資料を集めることができた。本研究では農業集団化に関するナショナル、リージョナル、ローカルの3つのレベルの動向を探ることにある。一つずつ順にこれらのレベルの進捗状況を記す。 まず、ナショナルレベルでは、もっとも、当初計画していた政府関係のインタビュー対象者には会うことができなかったが、逆により適切な人物を調査実施前に見つけ出すことができ、期待以上の情報を得ることができた。一方、リージョナルレベルでは、当初期待していたほどの動きはなく、農業集団化という主題について、地方政府が積極的に制度化を進めたり、農家に集団化を促したりしているわけではないようである。この点では期待とは異なる結果となったが、逆に地方レベルの役割について再考するきっかけとなった。 最後にローカルレベルの動きだが、ここでも期待以上の成果が得られた。とりわけ村落を超えた形で農民を束ねる組織が自発的に作られていった過程を聞き取り調査から聞くことができた点は大きな意義があった。というのも、これまでラオスの農業集団化は中央から村落まで一貫したトップダウンの指示によって行われてきたからである。こうした想定を覆す動きは今後、さらに追いかけていく必要がある。 しかし、年度の後半にはさまざまな事情により、研究計画に記していた報告書の執筆までは叶わなかった。
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今後の研究の推進方策 |
資料の収集については期待以上の成果を上げたものの、その報告については予定より進まなかった。このことから、平成28年度には調査データをまとめていく作業に時間をかける。その後、研究会や学会での発表に加えて、査読付学会誌に論文を投稿する。 一方で、予定通り8月には再度現地調査に赴き、まずはナショナルレベルでの協同組合に関する制度化の進捗状況を昨年度と同じ対象者から聞き取り、実態をより詳細に明らかにする。続いて、リージョナル、ローカルレベルの農業集団化の動きも昨年同様に跡付けていく。具体的には、昨年度訪れた協同組合の幹部に対して、より細部にわたって組織化の過程とその背景にある社会的状況について聞き取りをする。とりわけ、農協代表がどのように政府の協同組合政策を利用し、その結果、村落内での代表の政治的立ち位置がどのように変化していったのか、それにより組織のあり方にいかなる影響を及ぼしたのかを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に研究テーマに関連する書籍を購入する予定であったが、調査結果のまとめが予想以上に時間を要し、書籍の購入を後回しにしたために、当該助成金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
この分の助成金は翌年度の助成金と合わせて、予定していた書籍の購入に充てる。
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