本研究では、パナマ東部地方に居住する先住民エンベラによる、近年の自然資源利用・管理プロジェクトの参加に関する人類学的研究である。対象とするプロジェクトは、商業的な森林伐採を念頭においた「共同体企業」の設立・運営である。エンベラのもとでは2000年代初頭からはじまったこの活動は、原生林資源の経済活動を可能にする一方で、資源の所有をめぐる論争を通して、従来の社会関係を変えている。そのほか、こうした計画は、従来の先住民に固有な環境理解とは別用の枠組みをもたらすが、調査対象の場合、資源利用が全面的にその新たな枠組みにはまるように、従来の環境利用に見られた方向感覚は不当なものと位置付けられていた。
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