本研究は、以下の点で学術的特色と独創性を有すると考えられる。①功績概念の分析と理論的位置づけ:管見の限り少なくともロールズ以降の論争を押さえた研究は国内には存在しなかった。この点で本研究は功績についての国内初の本格的研究として特色を有する。②また、分析法理学の知見を参照した刑罰基礎論への寄与という点でも一定の学術的意義を有する。 また、功績基底的な応報主義がフェアプレイ論の一種として理解できるという本研究の立場は、応報主義が馬鹿げた立場ではなく、リベラルな立場にとっても真剣な 理論的検討に耐えうる立場として構築しうることを意味しており、その点で意義を持つ。
|