平成27年度は、フランス・リールにおける公開処刑の場所と社会との関係のアンシャン・レジームから19世紀にかけての歴史的変遷を追ったフランス語論文を発表したとともに、オランダ・ロッテルダム開催された国際18世紀学会において、フランス革命期の王妃マリー=アントワネット裁判及びその処刑にかんするフランス語報告を行った。この発表は論文化され、現在フランスの雑誌に投稿中である(掲載未定)。 平成28年度は、同26年度(本研究課題申請以後)に発表した、日本の江戸時代における公開処刑にかんするフランス語論文を受けて依頼された、日本の江戸時代から明治時代にかけての刑罰の変遷についての電子展覧会を代田清嗣とともに編集し、9月に発表した。また、11月には、再びフランス側からの依頼で、江戸時代の名古屋における引廻しと刑の執行場所を題材とするフランス語論文を発表した。このように、28年度の予定は当初と大きく変化し、日本の江戸時代が考察の中心となったが、本課題はフランスをはじめとする西洋と日本をはじめとする東洋との比較も視野に入れていること、上述の成果は過去の実績を受けて依頼されたものであることから、全体的な執行状況としては、予想外の方向にではあるが、順調に進展したと考えられる。
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