研究課題/領域番号 |
15K16916
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
横田 明美 千葉大学, 法政経学部, 准教授 (60713469)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 行政法 / 消費者法 / 情報法 / AI / ロボット法 / 団体訴訟 |
研究実績の概要 |
4カ年計画の2年目である平成28年度は、昨年度の研究において策定した重点研究対象である、ドイツにおけるデータ保護消費者団体訴訟及びAIネットワーク化問題・ロボットが普及した社会における利益保護のあり方について、海外調査と学会報告を行うことを目標とした。 海外調査については、8月中旬にドイツのマインツ大学のElke Gurlit教授及びコンスタンツ大学のHans C. Roehle 教授の協力を得て、ドイツにおける団体訴訟につき、包括的かつ横断的な調査と意見交換を行った。その結果、ドイツにおける「団体訴訟」というシステムの利用が広範かつ定着した枠組みになりつつあること、ただデータ保護団体訴訟についてはまだ十分にその公法学的意義が議論されていないこと、しかし注目に値する課題であることが明らかになった。 また、消費者法・環境法・情報法を横断するテーマとしてのAI・ロボットについては、昨年に引き続き情報ネットワーク法学会で報告する機会を得た。昨年とは異なり、分科会報告「AI・ロボット法の消費者問題」のひとつという形式を取ったことにより、最先端のロボット法研究者である新保史生教授及び現場の消費者法政策を担う消費生活相談員である木村嘉子氏の報告と合わせて行うことにより、直近の未来に生じうる危険としてのAI・ロボットの消費者問題に対し幅広い層の関心を集めた。 また、この問題は個人情報の保護のあり方とも密接に関連するところ、パーソナルデータの保護と利活用に関する法分野横断的研究第13回研究会において、報告する機会を得た。それにより、同科研のメンバーから有益な示唆を得た。 これらの成果については、情報ネットワーク法学会の学会誌に掲載される予定である。また、次年度に、AI・ロボットについての消費者安全に関する論考を共著で出版する計画があり、そちらの議論にも反映させる予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の二つ目の柱となる、AI・ロボット法と消費者問題の関連について、一定の知見が得られたほか、学会報告及び研究会の形で世に問うことができた。 研究成果の公表については遅れが見られるが、これは単著論文としての公表ではなく、関連する他分野の論考と共に書籍として公刊する予定が進行しているためである。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は研究成果の媒体における公表及び情報法以外の法分野あるいは法学以外の分野の研究者も参画する枠組みでの報告に力点を置く。平成29年上半期は論文1編、学会報告1件を予定しており、共著での公表も平成29年度前半~中盤に行われる予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
書籍等の購入には満たない額(3774円)であり、適切な金額の必要な物品もなかったことから、来年度も引き続き行う欧州データ保護法制に関する文献収集に当てるため、繰り越すこととした。
|
次年度使用額の使用計画 |
ドイツにおいて欧州データ保護規則に対応するための法整備が進むことから、関連書籍が多数発刊されることが見込まれるため、その購入に充てる予定である。
|