研究実績の概要 |
平成30年度は、消費者法・環境法・情報法の三分野の横断によって得られた知見を具体的な法領域に適用することによって更なる研究につなげる視点を得ることを目標とした。ただ、それだけでは具体的な制度設計論に落とし込むことができないため、より具体的には、前年度の積み残しの課題であった、「行政におけるAI・ロボットの利用」というテーマに沿って、本研究をしめくくることとした。 そこで得られた視点を、当初は大学の紀要論文に掲載することを計画していたが、幸運にも、実際の行政機関等でも広く読まれている雑誌である「自治実務セミナー」において掲載することができる運びとなったため、実務家にとっても、また研究者にとっても、読みやすいかたちで、かつ、現在進行形で注目されつつあるロボット・AI利用に関する問題点を指摘する論考としてまとめることができた。
また、ロボット・AIに関する上記の横断的視点は、国際的な会合や学際的会合において報告する機会にも恵まれた。1st Japanese-German-French DWIH SymposiumではAIの研究開発と利活用に関する原則案を題材に、法学と倫理学とを架橋する視点でのディスカッションを提供した。また、理研AIPセンター主催のワークショップであるWORKSHOP ON UTILIZATION OF ADVANCED TECHNOLOGY, ARTIFICIAL INTELLIGENCE AND LAWでは、それらを踏まえた行政法学全体への波及へと議論を進めることができた。後者については、次の研究課題である「情報行政法の理論」において、更なる検討を深める予定である。
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