ドイツの行政訴訟制度に関するこれまでの研究が訴訟類型に言及する場合、現在すでに整備されたものを前提にすることが多かった。それに対して本研究では、ドイツにおいて行政訴訟の類型が整備・拡大された歴史的過程を理論的背景にも立ち入って考察を加えたり、裁判例の分析を通じて、それらの訴訟の実際の活用状況を解明することまで行った。それは、従来の研究の欠缺を埋め、ドイツの行政訴訟制度に関する知見を深化させるのみならず、ドイツ法を頻繁に参照してきた、わが国の行政訴訟制度の発展過程における特質の一端を明らかにすることにもつながる。
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