今年度は、海外で急速に拡大しているギグ・エコノミー(Gig Economy)ないしシェアリング・エコノミー(Sharing Economy)とよばれるオンデマンド経済の拡大について、Uber訴訟の検討を通じて法的問題点をあきらかにする検討を試みた。コンサルティングや業務請負、クラウドワーク、フリーランスといった従来型の働き方に位置づけられるものもあれば、ライドシェアに代表されるように、個人的活動の延長で収入を得る新たな働き方が世界各国で急速に広がっており、イギリスにおいては第3のカテゴリである「労働者(worker)」概念が活用され、アメリカにおいては「独立労働者」概念を労働政策のレベルで検討がなされていることが明らかになった。イギリスとアメリカのUber訴訟の動向については、「シェアリング・エコノミーと雇用関係―アメリカとイギリスにおけるUber訴訟をめぐる覚書―」季刊労働法257号(2017年)139頁において公表した。また、NHKの集金人をめぐる労働者性をめぐる下級審裁判例の判断が揺れうごいており、「NHK地域スタッフの労働者性と労契法17条1項の類推適用」法律時報89巻3号(2017年)126頁として公表した。
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