研究課題/領域番号 |
15K16939
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
植村 新 和歌山大学, 経済学部, 講師 (10733975)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 労働協約 / 協約能力 / 団体交渉 / 組織化戦術 |
研究実績の概要 |
本年度においては、研究計画で示した3つの研究課題のうち、第一の研究課題(ドイツにおける、労働協約法制との関係での、団体交渉法制をめぐる議論の分析・考察)に取り組んだ。本年度の研究成果は、2本の論文として発表した。 第一の成果は、植村新「労働協約締結権の再構成:ドイツにおける協約能力の議論を契機として」日本労働法学会誌126号(法律文化社、2015年)155-69頁である。本論文において、筆者は、ドイツ協約法における、労働協約を有効に締結するための要件である「協約能力」の概念を分析した。研究課題との関係では、本論文は、ドイツにおける団体交渉法制の基礎にある労働協約法制を分析することで、2つの法制度の連関を明らかにするという意味を持つ。この点で、本論文は、研究課題を達成するために必要な基礎的研究として、重要な意義を有する。 第二の成果は、北川亘太・植村新「ドイツの労働組合による組織化戦術の新展開」山本泰三編『認知資本主義-21世紀のポリティカル・エコノミー』(ナカニシヤ出版、2016年)189-216頁である。本論文において、筆者は、ドイツの代表的労働組合であるIG Metallが、近時、アメリカ型の組織化戦術を取り入れながら、新しい組織化の手法を展開していることを示すとともに、そのことがIG Metallにとって持つ意義を分析した。研究課題との関係では、本論文は、ドイツ協約法に関する近年の判例法理の大きな変化を、労働組合の実態面から把握するための前提作業としての意味を持つ。この点で、本論文は、研究課題を達成するために必要な実態の調査・分析として、重要な意義を有する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、第一の研究課題をすべて完了させる予定であったところ、現時点では、途中までしか遂行できていない。 進捗がやや遅れている理由は、ドイツの団体交渉法制を分析するにあたり、ドイツ労働組合の新しい組織化戦術の分析という、当初予定していなかった課題に取り組んだためである。もっとも、この課題は、ドイツにおける団体交渉法制の検討を具体的に進めていく過程で現れてきたものであり、本研究課題を完遂するにあたって、必要不可欠なものであった。 「研究実績の概要」に記載の通り、当該検討により、ドイツにおける団体交渉法制を、より実態に即したかたちで理解することが可能になった。これにより、今後の研究を、従来よりも円滑に進められるようになったと考える。
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今後の研究の推進方策 |
できるだけ早い時期に、第一の研究課題を完了する。 その上で、わが国における団体交渉法制と労働協約法制の関係性を検討し、最終的に、労働組合に対する現代的な法的規律のあり方を示したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を予定していた書籍の発行が次年度にずれ込んだため。
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次年度使用額の使用計画 |
購入を予定していた書籍の購入に使用する。
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