本研究は、特に労働協約に対する法規整を対象として集団的労使関係法制の再構築を試みたものである。研究に当っては、ドイツ協約法を対象とする比較法的考察の方法を採用した。 本研究により、①労働協約制度の趣旨・目的を具体的に構想したうえで、当該趣旨・目的を実現するための労働協約の要件・効果論を展開するべきであること、②この要件・効果論は、労働組合が果たしている多様な役割に応じて考察するべきであること、③法律で保障されている団体交渉請求権は、労働協約が公正な内容で締結されることを担保する法規整としては不十分であることの3点が明らかになった。
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