研究課題/領域番号 |
15K16954
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山下 徹哉 京都大学, 法学研究科, 准教授 (10511983)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 会社役員の責任 / 会社役員賠償責任保険 / 会社法 / 保険法 / 非営利法人における役員の責任 |
研究実績の概要 |
本研究は、会社法上の役員の地位・責任に係る規律と適合し、当該規律を適切にエンフォースできる、あるべき会社役員賠償責任保険の商品構成の提案を行うことを目的とする。 以上の研究目的の達成に向けて、平成29年度においては、第一に、日本法における会社役員の地位・責任および会社役員責任保険をめぐる議論を継続的にフォローし続けるとともに、非営利法人における役員の地位・責任について、営利法人である株式会社の役員の地位・責任との異同を中心に検討を行い、営利法人と非営利法人の性格の相違が役員の地位・責任ルールに与える影響を明らかにした。この検討を通じて、会社役員の地位・責任の特質をより深く理解できるようになり、この知見は、今後、比較法的考察を行うための前提的知見として役に立つものと思われる。第二に、アメリカ法における会社役員の地位・責任および会社役員責任保険をめぐる議論をより深掘りするとともに、アメリカ法律協会が現在策定中の責任保険リステイトメントの内容および損害賠償責任と責任保険との相互関係に関する議論を調査した。これにより、特に損害賠償責任法・保険法の理論的前提を理解することができたので、今後、比較法的考察を行うための基盤となる知見を得ることができたと考えている。また、平成29年度後半は、アメリカ合衆国で長期在外研究をする機会が得られたため、上記各事項について現地の研究者に直接質問し、教示を受けることにより、議論状況をより深く理解することが可能になった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、4年間の研究期間を、基礎的調査期(1年目)、本格的調査期1(2年目)、本格的調査期2(3年目)、比較法的考察期(4年目)に分けて進めることとしている。本年度は3年目であり、本年度までで日米独の会社役員に関する規律・議論と会社役員賠償責任保険に関する規律・議論の調査・検討を終える予定であった。しかし、ドイツにおける会社役員賠償責任保険に関する調査・検討については終えることができなかったので、現状の進捗状況はやや遅れていると評価すべきであると考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、研究の最終年度である。調査・検討が不十分な点について、調査・検討を進めるとともに、今までに得られた知見を整理する。その上で、外国法と日本法との比較検討を行い、研究成果の取りまとめを行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究進捗の遅れのため、平成29年度までに終わらせる予定だった検討事項の調査を完遂することができなかったことに伴い、資料購入のための支出が計画よりも少なくなった。平成30年度は、前記事項の調査と本来予定していた検討事項の調査を行うのに必要な資料購入の費用および研究会・学会等の出席に要する旅費その他の費用のために支出を行う予定である。
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