本研究は、友好的買収において買収会社との交渉にあたる取締役の責任にかかる基準について、デラウェア州における議論を元に考察するものである。 本研究によって、近年のデラウェア州裁判例が、強圧を受けていない株主の多数が、十分な情報開示に基づいて当該合併を承認した場合には、取締役の判断を尊重する傾向にあることが明らかになった。その背景には、デラウェア州におけるM&A関連訴訟の増加があり、この点でわが国とは状況が異なる。しかし、日本の裁判例にも同様の視点に基づく判断が見られており、米国の議論との結節点は見いだすことができる。
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