フランス人身損害賠償実務において、①逸失利益とは別項目で、減収という形では現れ難い経済的不利益の把握が、②C型肝炎ウィルス感染という特殊な被害類型における非財産的損害の把握(包括的評価ら分析的評価への移行)が、全部填補の原則に即していかに行なわれているかを明らかにした。次に、全部填補(賠償)原理がいかに原則として尊重され具体的に適用されているかを、損害算定の場面での事実審裁判官に対する統制の局面を通して考察した。さらに、その原理が近時の民事責任理論において提唱される理論(損害区分論)といかなる関係にあるのかを、人身損害賠償の領域において検討した。
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