研究課題/領域番号 |
15K16961
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
青木 仁美 法政大学, 法学部, 特別研究員 (80612291)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 成年後見制度 / 成年者保護 / オーストリア / ブリティッシュ・コロンビア / 行為能力 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本の成年者保護が成年後見制度を中心に行わており、本人の行為能力が画一的に制限されている点を問題点として、成年者保護の法的保護の多様化を提言することである。 本研究は、オーストリア法と日本法の比較法的手段で進めている。オーストリアは、2018年に代弁人法が改正された。本来の計画では、今年度は、「患者代弁人制度」の現地調査を行う予定であったが、改正法により、行為能力を制限しない制度が民法典に導入されたこと、患者代弁人制度に関しては、昨年度に制度の存在意義に関する論文を公表したことから、今年度は、改正された新法「成年者保護法」を研究対象とした。具体的には、成年者保護法の「配慮代理権」「選任された成年者代理」「法定成年者代理」の立法趣旨、制度内容を明らかにした。ここから、行為能力を制限しない代理制度が複数創設され、行為能力の制限を伴う代理は最終手段とされていることが明らかになった。これらの成果を論文としてまとめ、2019年度に公刊予定である。 また、本年度より、ブリティッシュ・コロンビア州(カナダ、以下BC)の州法を研究対象として加えた。BCでは、成年者保護の分野に関して、成年後見制度以外の制度が設立されており、国際的に評価を受けているからである。代表者は、2019年2月1日から3月1日にかけて海外出張を行い、ブリティッシュ・コロンビア大学で、主に成年後見制度以外の成年者保護制度に関して、研究、資料収集を行った。また、カナダ高齢者法センターにおいて、制度の利用状況、問題点に関してインタビューを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2016年度に出産し、保育園に入園できたのが2018年度であったため、育児に時間がとられ、研究にやや遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、成年者保護制度の多様化という観点から、オーストリア、カナダと日本の比較法研究を進める。 オーストリアについては、成年者保護法の内容を引き続き調査するとともに、現地における実際の利用状況を調査する。 カナダに関しては、ブリティッシュ・コロンビア州の成年者保護制度の全体を把握し、行為能力制限をもたらさない本人保護がいかに実現されているのかを調査する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2016年に出産し、保育園に入園できたのが2018年度であり、育児に時間がとられ、海外出張に行くことができない年度があったため。 使用計画としては、2019年度にオーストリア法の調査のための海外出張を計画している。
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