研究課題/領域番号 |
15K16967
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
伊藤 吉洋 近畿大学, 法学部, 准教授 (50582897)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | MBO / 支配株主 / 少数株主 / 企業買収 / 締め出し |
研究実績の概要 |
本研究はMBOにおける情報開示規制を検討するものである。当該検討に際しては、MBOにおける利益相反構造に起因する具体的な問題点についても十分理解しておく必要がある。そこで、当該問題点(例えば、利益相反関係のある取締役が企業価値算定機関による算定へ介入することや、利益相反回避措置の一つとしての第三者委員会による検討過程についての情報開示の水準)が取り上げられた裁判例について検討を行った(「MBOの実施における取締役の善管注意義務違反に基づく損害賠償責任が認められた事例[平成27.10.29大阪高裁判決]」法学80巻4号)。 また、MBOの実施にあたってこれまで用いられることが多かった全部取得条項付種類株式に係る取得価格の決定事例において、裁判所がどのような観点から当該決定を行っているのかついても把握しておく必要がある。そこで、この点に係る最近の最高裁判所の判断(最決平成28年7月1日(ジュピターテレコム事件))についての検討を行った(「利益相反構造のある二段階買収における公正な価格」近畿大学法学64巻3=4号)。具体的には、当該最高裁決定についてのありうる読み方、当該読み方を前提にした当該決定の問題点の検討、当該決定に対する学説の批判的検討、(現金を対価とする当該決定における事案とは一部異なり)株式を対価とする組織再編における株式買取請求権に係る公正な価格の検討、利益相反回避措置に対する審査に際して留意すべき点の検討である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要において述べたように、ある程度の検討を行うことができたが、アメリカにおける裁判例等についての調査がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
特にアメリカにおける裁判例・学説・実務について早急に調査を行い、研究内容を総括する。
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次年度使用額が生じた理由 |
物件費等の端数が生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
差額の2016年度総予算額に占める割合、研究年度全体に占める割合は大きいものではないので、2017年度配分額と含めて適切に使用する。
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