研究課題/領域番号 |
15K16968
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
宮崎 裕介 神戸学院大学, 法学部, 准教授 (20585096)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 自己株式取得 / 証券市場 / JPX日経インデックス400 / コーポレートガバナンス・コード / 開示規制 / シグナリング仮説 / エージェンシー仮説 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、自己株式取得規制に関する法制度とその実態について外国法および日本法の検討を行った。法制度の検討においては、当初は外国法として米国法のみを対象とする予定であったが、英国法についても考察した。英国法の研究も加えたのは、同国においては、米国とは正反対のスタンスをとっており(厳格な自己株式取得規制がとられている)、かつ歴史的には日本と同様に自己株式取得を原則禁じていたこともあり、わが国の法制度を比較法の観点から考察するにあたり有益と思われたからである。わが国おいては、とりわけ上場会社が自己株式を取得する場合に、多様な取得方法をとることが認められている。これは他方で、取得方法によって服するルールが異なるという現象をもたらしている。米国法および英国法と比べると、このような制度設計は特異とも言える。かかる問題点について、開示規制に焦点を当て、解決策の提案をした。これについては、論文として公表することが決定しているが、掲載誌の都合上、平成28年度の業績となる。 また、当初の予定では平成29年度に行う予定であったファイナンス理論の研究についても、一部前倒しで行った。これは、JPX日経インデックス400やコーポレートガバナンス・コードなどの影響で、自己株式取得の必要性がこれまで以上に増していることを考慮したためである。これらの点については、証券市場における自己株式取得の意義を踏まえ、論文として公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画の通り、自己株式取得に関する法制度とその実態に関する日米の比較研究について、論文公表の目処がついた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画では、平成29年度に取り組む予定であったファイナンス理論について前倒しで研究を行ったが、今後の研究ではより掘り下げて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
若干の次年度使用額が生じた。これは購入予定だった書籍が改訂のため年度をまたいで刊行される ことが判明したため、平成28年度に繰り越し使用する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は、自己株式取得の実務上の必要性と法規制による許容性との間にある相克、について研究する予定であるので、実務に関する書籍の購入を予定している。また、研究成果を報告するための出張も複数回予定されている。
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